最低賃金 について
①最低賃金とは
「国が定めた時給の最低限度額」です。
法律に基づいて定められた金額であり、すべての労働者が対象となります(パートやアルバイトの賃金にも適用されます)。
派遣労働者の場合、派遣先の事業場がある都道府県の金額が適用されます。
労使間で最低賃金以下の金額で賃金を定めたとしても、その取り決めは無効となり最低賃金が適用されます。
最低賃金には、地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類があります。
・地域別最低賃金とは
都道府県別に1つ定められます。その都道府県内で働く労働者、使用者全てに適用されます。
・特定(産業別)最低賃金とは
特定の産業について設定されている最低賃金をいいます。
「地域別最低賃金」と金額が異なる場合、金額が高い方が適用されます。
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②最低賃金の見直し
—2022年度の場合—
厚生労働省(中央最低賃金審議会)は2022年度の最低賃金について全国で時給30円もしくは31円を目安に引き上げるよう答申を示しました。引き上げ額は時給で示す制度になって以降(2002年度から)で最大となっています。
この目安をもとに、長野労働局の審議会は、物価高騰などを踏まえて目安どおり31円引き上げ、最低賃金を877円から908円とする案をまとめました。
その後採決を行った結果、使用者側が反対したものの賛成多数となったことを受けて、時給908円とすることを正式に決定し、2022年10月1日より適応されました。
特定(産業別)最低賃金については例年、11月頃に改定金額が公示されます。
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③長野県の最低賃金
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④最低賃金の確認方法
〇最低賃金の公示は時給額となっています。時給制以外の給与の場合、労働1時間あたりの賃金を計算して確認します。
・時間給制の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)
・日給制の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
※ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、日給≧最低賃金額(日額)
・月給制の場合
月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
・出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合
賃金の総額÷総労働時間数≧最低賃金額(時間額)
・上記の組み合わせの場合
例えば基本給が日給制で、各手当(職務手当など)が月給制などの場合、それぞれを時間額に換算して合計したものと最低賃金額(時間額)を比較します。
〇給与として支払われる金額には各種手当が含まれていますが、以下の手当分は最低賃金には含まれません。
・臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
・1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
・所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
・所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
・午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
・精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
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⑤まとめ
最低賃金は毎年改定される労働賃金の最低ラインであり、都道府県や特定の業種によって変動します。
(特別な事情がある場合、適応外になるケースもありえるのですが、「特別な事情」が無い限り最低賃金は適応されます。)
上記の通り各種手当の詳細や年間休日数等から確認ができます。働いてお金を貰うからには確認しておきましょう。
各都道府県の最低賃金はこちらから確認できます。
求人側から見た場合、年に一度の最低賃金改定は、自社の賃金を確認する機会になっているかと思います。最低賃金を下回った求人を掲載することから、法律違反となりますので注意が必要です。